2017.3.18
近年人工知能の発達によるシンギュラリティや第4次産業革命というキーワードが非常に大きく取り扱われていますが、果たして私たちはシンギュラリティを正当評価できているのでしょうか?その大きさを推し量るために、あらためて第1次産業革命を再確認してみたいと思います。
18世紀、まだ蒸気機関がなかった時代。当時は人力や水力、牛馬などを動力源としていました。そしてそこへ現れた「水と石炭をくべればいくらでも動く、何でも運べる、どこまでも行ける」というとてつもない機械が世界に広まります。また電信技術の発達も目を見張るものがあります。
参考として東京~京都の伝達時間を以下に並べてみます。
. 情報 移動
江戸時代 飛脚で3日 徒歩で14日
明治2年 電信で即時
明治22年 鉄道で20時間
・・・当時の人たちにとって本当に衝撃だったと思います。
さらに産業構造の再構築、軍事技術の変革、電灯による生活時間の拡大なども含め、全ての社会構造が変わったのです。もちろん意識の変化は大変なものであったでしょう。
信州においても、製糸業の興隆により工女さんたちが野麦峠を越えて糸を引いていましたが、 繰糸器械も水力から蒸気になり、中央西線の開通により工女さんたちも蒸気機関車で岡谷に来るようになりました。福澤桃介による木曽川流域の水力発電事業も大きな後押しになったことと思います。
近年、インターネットにより情報伝達が非常に発展しました。またロボットやオートメーション化、人工知能の発達によって再び社会構造が大きく変わることが予測されています。
私たちは心構えを作りながらシンギュラリティを迎えますが、19世紀、蒸気船に乗って突然やってきた「文明開化」の衝撃とはどのようなものだったのでしょうか。そしてそれを20年程度で受け止めて世界の一等国に上っていった先人こそを、果たして乗り越えられるのでしょうか。
現実に明治の文明開化を受け止めた武家社会、その子弟の知性教育に使われていた論語。それは新渡戸稲造によって世界に広く知らしめた、日本武士道の礎でした。
現代の文明開化を乗り越えられる次世代を育てるために、私たちは何を伝えればいいのでしょうか。最近では「STEM教育(Science=科学, Technology=技術, Engineering=工学, Mathematics=数学)」と呼ばれ、さらには「STEAM教育(Art=芸術を追加)」へ移ってきたように、最後は「知性・感性」こそが人間たらしめると考えられるようになってきました。
BeeTreeプログラミング教室が「プログラミングを使った論語の素読」を一つのアイコンとし、単なるプログラミング技術教育ではなく「知性・感性教育」をその開設意義としているのは、シンギュラリティのその先へ、未来へ対する次世代育成でもあるのです。