2021.5.30
実のところ、教室でもプログラミングに消極的な子もいます。
算数が苦手な彼も、そんな一人でした。
その日は好きなプロ野球の試合が気になっている様子で、あまり話を聞いてくれそうにありません。
思い切って、「じゃぁ今日は予定を変えて、先生もうまくできなかった『ボールが飛んでくるアニメーション』を作ってみようか」と話してみました。
これは遠くにある小さなボールが、だんだん大きくなって近づいてくる様子を表すプログラムです。
彼も作り始めましたが、途中からからやりたいことがどんどん変わっていきます。
「先生、こう、ギュイーンっていうのを作りたい」
「おぉそうか、でもギュイーンじゃよくわからないな。ボードに描いてごらん」
「OK、ボールがこう飛んできて、この辺から曲がるんだよね」
「なるほど、どこまでまっすぐで、どれぐらい曲がる?」
「こんな感じかな(描いては消し、描いては消し)」
「そうだなー、やり方は2つあるかな。1つ目はここまで来たらこっちに向きを変えて進んでいく。もう一つはだんだん向きが変わっていく」
「いや先生違うんだよ、ここら辺まではまっすぐで、ここからだんだん曲がっていくんだ・・・」
議論とイメージを重ねていきます。。。
ようやく作るべきものが明確になり、作り始めたのは授業開始から1時間も経ったころ。今日はあと30分しかありません。
「そうだ、こうだ。いやちょっとまて、こっちだな」
独り言をつぶやきながら一生懸命作っています。
「あぁぁ、もっとちゃんとプログラミングやってればよかった」
この言葉!教室としては涙が出るほどうれしい言葉です。
それでもある程度作り上げ、今度は違う変化球も作ってしまいました。それもほかの子たちにも見せはじめます。
「ほらこっちを押すとカーブで、こっちはシュート、こっちはスローだぜ、やってみ?」
そうこうしているうちにあっという間に時間が来てしまいます。
「さて今日はそろそろ時間なので、いったんこの辺で切り上げましょう。続きはまた来週!」
「ありがとう先生、楽しいよ」
もともとこの日の授業で子どもたちに伝えたかったのは、「ビニールに代わる新素材で、ビニール袋を減らせる」という話題の予定でした。(LIMEXの袋も持って行って、手触りや強さも体験してもらいました)
しかしその子が選んだのは、目新しい話題でもなく、こちらが提示したアニメでもなく、自分の好きなことを探求するという道でした。でもそれこそがこの教室がやりたいことであり、彼の好奇心に火が着いて積極的に創造しはじめることを、保護者も大変喜んでくれています。
保護者も子どもを信じている。焦らずじっくり待っている。何年でも通ってくれる。そんなステキな空間になっています。
日本発の新素材、LIMEX。石灰石から作られた、炭酸カルシウムを主成分とする素材です。今後の社会を大きく変える可能性があるので、みんな覚えといてね!